今日は日経ビジネスオンライン中の
ソフトブレーン元会長 宋文洲氏の記事「
いじめが自殺につながる日本の「空気」 」にトラックバックしてみたいと思います。
私は宋文洲氏の記事が大好きで、購読している日経ビジネスの中でもよく読ませて頂いています。宋氏の記事には宋氏の心が宿っており、文体からもその意思が伝わってくるようです。
今回の記事は、昨今の日本で起きている児童の自殺のニュースを起点としたものでした。宋氏は記事の中で次のように語っています(以下要訳)。
いじめの根絶は人間の歴史を振返っても不可能に近い。それに中国や米国では”いじめ → 自殺”とはならない。今回のニュースに対しても、加害者にのみ焦点を当てるのではなく、このような”いじめ → 自殺”へと向かう背景に焦点を当てるべきではないだろうか。
少女の遺書には”がんばるのに疲れた”とある。日本人は過剰に”頑張ること”を強いているのではないか?日本人はもっと、子供達に「我慢できなければ逃げる」道を教えるべきではないか。
宋氏の記事の中には、宋氏自身が”
文化大革命が起きた時、先祖が商売をしていたという理由で周囲の友達や先生も加担したいじめを受けた”との体験談も記述されていました。
しかし、それでも宋氏は「死にたい」とは思わなかった…なぜなら家と家族が氏の逃げ場、癒しの場となり、「周囲が狂っている。あなたは間違っていない」ということを言い聞かせてくれたからだそうです。
皆さんはこの記事を受けてどの様に思われるでしょうか?
私はこれは非常に難しい投げかけであると思っています。
SMAPの歌に「
世界に一つだけの花」というヒット曲があります。
その歌詞の中に
”
No.1にならなくてもいい
もともと特別なOnly one”
という一節があります。私はこれも非常に難しい言葉だと思います。
(大体、この詩を歌う彼らにしても芸能界の中を生き抜いてきたからこそ、特別なオンリーワンの存在になれたのではないのでしょうか?)
人が生きるということは、人生というキャンパスに色を塗るということ。
そして色を塗ったのであれば、それは人と比べられてしまうということ。
人が一人で生きていけないのであれば、いずれ誰の保護も無い世界での試練に立ち向かわなければならないときが来る。それなのに、その人に対して”絵を描くのを止めてもいいんだよ”という事が正しいのでしょうか?
自分の人生を”
もう描かない”と決めてしまった人のその残りの人生は、その後なんの彩りも無いものになってしまうのではないでしょうか?
私の場合・・・
私には描きかけの自分のキャンパスがありました。
それはとても幸せな色彩に溢れたものでしたし、
これからもその色彩は映えるのだと思っていました。
しかし、そのキャンパスは社会や権力という力によって真っ黒く塗りつぶされてしまいました。真っ黒なキャンパスの前に僕は一人でした。
絶望、悲しみ、そして憎悪・・・それら全てをエネルギーに変えて私は立ち上がりました。私はもう一度キャンパスを白く塗りつぶし、そしてまだグレーなそのキャンパスの上から色を重ねて生きています。
その時に”無理はしないんで良いんだ”と私が考えてしまっていたら、私は結局立ち上がれなかったと思います。逃げてまともに生き残れるような状態ではありませんでした。
人は自らの為に、そして誰かの為にも立ち上がらなければならないときがあると思います。
文化大革命の混沌期に”あなたは間違っていないのだから、つらい時は逃げておいで”と言う事と、”あぁ、つらいから止めよう”というのは全く違うものだと思います。
今回の少女の自殺のニュースの真相がどうであったのかはわかりません。しかし、だからといって逃げる事が正しいとも思いません。
精一杯頑張って、そしてそれでもダメだと絶望している人に、”頑張ってみろよ”という言葉ほど辛いものはありません。しかし、まだまだ頑張れるのに”もう俺は頑張ったから”と逃げる人には賛成できません。
学校で死に追い込まれるほどのいじめにあっている子供に、”頑張って学校に通え”と言うのは愚かでしょう。しかし、ただ学校での勉強や人間関係が嫌で行きたくないといっている子供に”それなら行かなくてもいいんだよ”と言うのも愚かでしょう?
逃げるのは簡単です。
勉強が辛いから学校をやめる。
仕事が向いてないと思うから会社をやめる。
しかしそんな事で逃げていたら、誰も自分の足で立てなくなるのではないでしょうか?逃げ出した後の人生に、幸せはあるのでしょうか?
この問いかけは、私の人生の中であと何年も答えが出ないものなのかもしれません。しかし、私が子を持つ親となるまでには、私は自分なりの答えを見つけようと思います。
その答えとはたぶん・・・
”頑張れ”と突っぱねる事でもなく、
”辞めてもいいよ”と逃がす事でもないと思っています。
その人全体を包み、そしてその人が成長していけるような答えを見つけたいと思っています。これからの数年をかけてでも。
これからの世界はきっと弱者には優しくない。
日本はこれから中国やインドの台頭によって淘汰の波に飲まれていく。格差は更に広がる傾向にあり、そして僕はアジアで格差社会というものを知っている。そして、だからきっと、逃げちゃダメなんだと思うんです。
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